私に触れて、そして殺して


ヤケ酒だ、と
一人意気込む私だが
もともとお酒は強い

だから陽気にはなるが
意識はハッキリしている


酔って、忘れたい…
そんなふうに思ったりもした
でも、余計虚しさがこみ上げてくる


「そろそろ、帰ろうか」


その声に時計を見ると
終電の時間が近づいていた
周りのお客さんも
終電に乗るのか、立ち上がる人もチラホラ

まだいたい
一人でいたくない


そんな子供みたいなこと言えない
だからと言って
一人で次の店へ行く気分にもなれない

タクシーで帰る私は
みんなを駅まで見送り
タクシー乗り場まで歩いて行く


今日も朝方に帰ってくるのかな?
明日は休みだから
家具を買いに行く予定にはなっている
覚えているだろうか、と考えながら歩く

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