春川君に届けっ!私のラブレター♥


「春川君っ、あの、これっ…………あ、あれ?」


 ない。ないないっ。

 ラブレターが……ない!

 カバンにも、ポケットにも、どこにもないっ!


「夏山? もしかして……何か忘れた?」

「えっとー」




 ラブレターを、忘れました……。




「アハハ! その様子だと、また忘れたんだなー! 何忘れたの? 貸すよ」

「いやっ、ラブレターはさすがに借りれないし……」

「え?」

「な、なんでもないなんでもない! 大丈夫大丈夫! その、明日でも大丈夫な物だから! ……たぶん」

「そうか?」

「うん! じゃあねっ!」


 私は、早々にその場を去った。


 春川君ゴメンね。心配かけて。

 けどね、春川君にあげるラブレターだから、春川君から借りることは出来ないんだよ。まさか、書いてもらうわけにもいかないし。


 明日こそは、忘れないようにしないと!

< 11 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop