夢かかげる星のエアル




担任の肩が丸まっていた。

それに加え、目じりの皺、生え際に見える白髪、細く弱々しい指…なんだか、長年の苦労が垣間見えてしまって思わず目を逸らす。




―——逸らして、下方を見る。

私の机の上には、一枚のプリントがつまらなそうに置かれていた。


たった一枚の紙きれだ。でもそれがとても重要なものらしい。

私にはその大切さは分からないし別になんだっていいのだけれど、“進学”か“就職”、その第一志望、第二志望、第三希望までを教師たちは可視化せんとばかりに私たちに押し付けて書かせたがる。

これだけ手渡してどうしろっていうのか。

どうでもいいのに、そのなにかを書かなきゃいけないのか。




「高校三年ってのは、人生のにおいて大きな節目に位置するんだからなー、しっかり考えろよー」




…だるい以外のなにものでもない。考えるのも面倒くさい。なんでこんなものを書かなきゃいけないの。そもそも、将来のことなんて分からないし。

進学ってなんのために?
就職ってなんのために?

その意味すら、理解できてない。




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