夢かかげる星のエアル
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「ハルカ、進路どうするか決まった?」
放課後になると、教室の中は騒がしくなる。
部活に行く準備をする者もいれば、帰ってもやることがないから友達といつまでも喋っている者もいるし、意識が高いヤツに限っては図書館に移動し始める。
そんな時間帯―――私の席のまわりには、前と隣、二人の人物が腰を下ろしていた。
「まだ、リっちゃんは?」
「私は進学かな~、親がそうしろってうるさいし」
「親が言うから、か…」
放課後になるなり自分の席から移動してきて私の隣に座ってきたのは、可愛いおさげが似合っているリっちゃんこと、利佳子(りかこ)。
いつも背負っている水玉のリュックを身体の前で抱きかかえながら、しょーがないよね、と口をもらし微笑を浮かべている彼女に…そんなもんなのか、とまたよく理解しきれていない返事をした。
「リカコは頭いいから。ハルカ、お前とは出来が違うんだよ」
「ショウタ、あんたは早く部活にいけ」
―――そして、私の席の真ん前。
年季の入った椅子にまたがって、ニシシ、なんてうざったい笑みを浮かべている坊主頭…翔太(ショウタ)に睨みをきかす。
もう寄ってこないでさっさと野球部の練習に行けばいいのにと心底思った。