夢かかげる星のエアル






ショウタはイキイキしていた。

いや、ただ私の目にそう映っただけなのかもしれないが、私はなんとなく彼からも目を逸らしたくなってしまった。





ショウタは昔からなにか目標をたてるとそこにまっしぐらに突っ走るタイプの人間だった。

趣味は目標設定。遊ぶにも何にしても目標を立てたがる。この前なんて、魚釣りでとんでもないノルマを課せられた。その分の熱量は半端じゃない。

でも勉強はダメダメ。その代わりスポーツは群を抜いて得意だった。毎年春に行われているスポーツテストでは、シャトルランなんて一人だけ永遠に走っている。男女問わずの人気者。

常に有言実行の彼は、素晴らしい結果を多くたたき出す。

その証拠に校長室の前の廊下には“硬式野球部 県大会優勝”の輝かしいトロフィーが並んでいる。すごいとしかいいようがないほどに。やりたいことが明確な人だ。



私はまた、こんがりとやけた肌を瞳に映す。






一方でリっちゃんは、模試でSランクをとってしまうほどにめちゃめちゃ頭がいい。国語、数学、英語、なんでも得意。しかも教えるのも上手なのだから私とショウタはいつも頼りっぱなし。

おっとりしていて受け身な部分もあるけれど、意外に頑固。負けず嫌いな部分が勉強に向いているのだと思う。

しかもリっちゃんは女の子らしくて可愛い。決して目立つようなタイプじゃないけど、周囲をよく見て、今、自分がなにをすべきなのかを上手に判断できる子。

それと、習い事も色々手をつけていた。ピアノやバイオリンも、バレエだって。大切に育てられたお嬢様だ。

そりゃあ親の期待も膨らむし、その分なんだってできちゃうよ。




「ショウタは県内のあそこ?野球が有名な」

「そうそう。ばーちゃんのことほっとけねえし」

「そっかあ…この町は出ないんだ。私は東京かもなあ…お母さんがあそこに行けば将来安泰って、」

「東京か、すげえ遠い。リカコも大変だな」

「うん…たぶんそこにするとは思うけど…さみしいな」




私は一人だけ黙って二人の会話を聞いていた。


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