夢かかげる星のエアル
なんだ、二人ともいろいろ考えているのか、と一人だけ置いてけぼりにされたようなさびしい感覚。
それと、リっちゃんの言葉からもう一つ気づいたことがある。
ずっと住んできたこの町から出発して、新天地へと離れて行ってしまう友達も出てくることになるのかって。
みんな変わっていくのだろうか。
みんな歩いていくのだろうか。
海と、山々と、田んぼと森に囲まれた不変な田舎町で、みんなはなにかを見つけているのだろうか。
―――青海町(おうみまち)。
人口一千五百人。そのうちの高齢者は六割を超えている、海辺の小さな町だ。
オシャレに言えばハワイのビーチのような三日月型の海岸が特徴的。
それを取り囲むようにしてそびえたつ山々は、綺麗なことは綺麗なんだがそんなのはもう見飽きている。
なかでも一番嫌だと思うのは、ほかの地域への行き来を遮ってしまうところだ。
不便すぎる。
東京まで行ける道は一本しかない。
冬場なんて雪で封鎖されるから酷いものだ。
しかも、山を何個も越えなくてはたどり着けないし、少し栄えている隣町に行くのだって山がはばかっているために一時間は裕にかかる。
しんどすぎる。
閉鎖感が半端ない。
そんな青海町だけど、幸運なことに、小学校、中学校、高等学校はこの隔離された町に一つずつある。
なんせ隣町にいくのも一苦労なんだ、そうなる小、中、高とほぼほぼそこに通うことになる。
だから同年代の顔ぶれは同じまま。
しかも少子化で人数なんてたかが知れてるし、だからこの町の大半の人間の人生はこの町の中で完結してしまう。