夢かかげる星のエアル
「ハルカは、ずっとこの町?」
ショウタはたったそれだけを言ってきた。
「この町?」
「ずっといんの?青海に」
「……青海、に」
二重の真っ黒な瞳が真っすぐに向けられたけれど、私はうまく答えられずに視線を逸らす。
分からなかった。
この町を好きだとも思ってないのなら外に出て刺激的な生活を送ればいいだけのことかもしれないが、それもいまいちピンとこなかった。
町の外にいってまでやりたいこともないのだ。
きっと分かってる。
派手な街、刺激的な生活をしても、一定限度に達すると飽きてしまうんじゃないか、って。
それは本当に望んでいることではなく、ひと時の満足を埋めるだけに過ぎないもの。
つまり、この青海の町のように、都市部だってなんの変化もないつまらない場所に見えてしまうようで、怖かったのかもしれない。
何処に行っても、目標なくぼんやりと過ごす自分が見えているから。
「ハルカは残るんじゃないかって思ってんだけど」
「なんだそれ」
「だって俺と同じでばーちゃんいんだろ。しかも二人暮らしだし」
「まあ、そうだけど」
「だろ?だから、近所同士助け合おうぜってことよ」