夢かかげる星のエアル




正直、このあとは帰って寝ようと思っていた私はとことん腐っているみたい。



「美術部、活動日今日だろ」

「…」

「先生もハルカに来てほしがってる」

「…いい。放っておいてよ」



背カバンを肩にかけるショウタから目を逸らし、私はまた碧く光る大海原を眺めた。

きっとリっちゃんも見てる。だけど、私はそれも知らんぷりをする。



白波が生じ、消える。
ヨットの群れ。
カモメが二羽飛んでいた。




―――私は美術部に在籍している。

けれどほとんど行ってない。入ったのだってなんとなくだったし、参加してみてもやっぱりつまらなかったから行かなくなっただけ。

だって絵をかいたってこれがなんのためになるのかが分からなかった。

ただの紙っぺらじゃない?描いても捨てるだけじゃない?お金になるわけでもないしこれになんの価値があるのだろうって、そう思ったら続かなくなったって、それだけのこと。



「じゃ、また明日」

「ハルカ…」

「おい、ちょ、」



人生に意味ってあるのかな。
なにかに没頭する価値は本当にあるのかな。

アスリートも、アーティストだって、毎日なんであんなに頑張れるんだろう。

私には、さっぱりだ。
想像もつかない。

なーんにも、ないんだ。



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