夢かかげる星のエアル




***

学校の歴史を感じさせる古びた校門を出る。

横断歩道の向こう側には、こんなオンボロで学生が入ると思っているのか、“田村喫茶”がある。

そんな“カフェ”には不揃いな、“商い中”の看板。学校の正面を通る一車線の道路。その歩道を海岸とは逆向きに進む。

ここらはまだマシな方。小さいスーパーもあるし、花屋だってある、書店もこじんまりとしていて品揃えは悪いけど、一応ある。




―——山間から小さな商店街、住宅地、小中高の学校群、そして三日月型の青海海岸へと伸びるこの通りは、この町で一番大きい通り。私の通学路だ。

人通りは当たり前だけど少ない。

人口だってたかがしれてるし、この辺に住んでいる人はほとんど高齢者だ。今頃は農作業がひと段落して家で休んでいるころ。野菜は基本自給自足だし、買い物に行くこともないから商店街もうろつかない。

いるのは学校終わりのちびっこくらい。


キャハハ…、なんて陽気な笑い声を聞きながら、私は歩いてきた道を振り返った。


青々とした大海原まで一直線。

山間部にかけて伸びているこの通りは基本坂道だから、こうして海側を見ると光り輝く大自然を一望することができる。

天気が良かった。遥かかなた。空の碧と海の碧に挟まれたその先にはいったいなにがあるんだろう。先の先、海岸に打ち上げられた泡の粒はそれを知っているんだろうか。


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