夢かかげる星のエアル
このロケット、どこから来たの?
少年、君は誰?生きてる?
謎の電気をパチパチ発している機体。
その中にヒントがあるかもしれない。
そう思いながらも思い切り手汗をかいた。
いきなり警報が鳴ったらどうしよう。変な生物が出てきたらどうしよう。そんなじわじわくる恐怖を押しこらえ、懐中電灯片手に息を呑んだ。
ザクリ、私はロケットの中を探ろうと、さらに一歩、足に力を入れた。
「何者だ!!!」
その直後、また私は完全にビビッて尻餅をつくことになる。
ーーーー生きてた。
恐怖と感動。
あらゆる感情がごちゃ混ぜになって脳内はショートしそうになった。素直に喜びたいのに、……どうやら空気は、よろしいものではないらしい。
それは、あからさまに警戒する声。どっかの国の兵士が怒号を響かせているような強い口調。敵視。激怒。
それでしか成り立っていないような張り詰めた牽制に、恐る恐る振り返る。
思えば、言語はまた日本語だった。
「…えっと、それはこちらの台詞で…」
「そのロケットからいますぐ離れろ!」
「あ…す、っ…すいませんでした」
私は身じろいだ。
攻撃するつもりも、ロケットの中を見てどうこうしようというつもりもまったくないのだが、少年はまるで私が情報を盗み取ろうとしている敵だといわんばかりの鋭い目つきでにらんでくる。
月夜の晩に引き立つ綺麗な銀髪だった。
光を透かすほどに細かい毛先と、艶のある髪質。
そよ風に揺らし、とても柔らかそうな印象があった。
それに、さっきは倒れていたから分からなかったけれど、かなり端正な顔立ちをしている。
瞳は透明感のある青。ハンサム、っていったらぴったりの外見。まるでどっかの王子様のように。