夢かかげる星のエアル
第一声は、命ある喜びの声なんかじゃない。
安堵の一言も。ここはどこだの一言も。
ケガを一番に治したいと思うこともなく、自分の身は二の次だった。
まるで、そのほかの感情は欠如しているように。
そのどれでもなく、向けるのは敵意のみだった。
「…った…」
「いますぐ手当しないと…!」
でも、そんな少年はすぐに膝から崩れ落ちる。
なりふり構ってられなかった。正体不明な男に殺されるかもしれない、なんて考えはその時の私にはちっともよぎってこなかった。
「来るなっ…、捕らえるつもりならっ…くっ」
「捕らえませんっ…、それに、私はアノニマスってやつじゃないっ…」
「誰がそのような見え透いた嘘を…っ」
「信じてっ、とりあえず、傷を見せてくださいっ…」
サラリとした銀髪を揺らし、少年は顔をゆがませた。
誰にも気を許したことがないような、冷たく鋭い瞳を向けて。本当にすべてを拒絶していた。何も信じない。寄ってくるものは皆自分を裏切るに決まっていると思って疑わない、そんな瞳だった。
「そうやって僕をっ…やめっ…」
「骨は、折れてない…」
「勇敢なるゲオネスの人間がっ…あの程度の衝撃でくたばるわけないだろう…っつ」
「げおねす……?なんのことだかさっぱりだって…、とりあえず、これでも貼っておいて」