夢かかげる星のエアル






銀髪の彼は、そんな私の頬をジッと見ていた。




「お前、本当にアノニマスではないのか?」


訝しげにただそれだけを付け足して。

同時に、少年を纏う空気が随分と落ち着いた。張り詰めた緊張感が無くなったあたり、彼の警戒態勢は解かれたってことなんだろう。地面に腰を下ろしたまま何やら考え込んでいた。




「だからこの、アノなんちゃらって何ですか…?こっちが聞きたいくらいなんですが」

「見れば奴らの特徴の触覚も無い…」

「ねえ!聞いてます?!」

「服装も、思えば妙なものを着ている。奴らは基本裸体だ」

「……らっ!!」




次々と考えを巡らせているのは構わないんだけど、私をマジマジと観察しながらのそれはやめていただきたい。

しかもとても真剣な顔で。顎に手を当てて思案している彼は、またもやよく分からないことを口々にこぼした。




「これはっ……パジャマでしょうがっ…頭打ってラリった??」

「パジャマ……?」

「寝間着だって!眠る時に着る服!」



水玉模様のお気に入り。その上着の裾を引っ張って示す私に、彼はまた訝しそうに首を傾けるだけ。

正気?なんだって言うんだ。この人は本気で知らないような顔をする。



「眠る時……?何故いちいち着替える?そのようなことをしている間にアノニマスに襲撃される」

「されないから…!!全然されない!」

「何を寝ぼけたことを言っている。それに、眠るために着替えるなど、まるで一日の大部分を睡眠に割り当てていると言っているように聞こえる。三十分睡眠、これが常。そのために着替えるなど何の意味がある?」



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