夢かかげる星のエアル






まさかとは、思った。


少年がでたらめを言っているようには思えない。

それに、こんな若い人間がロケットに一人で乗り込んでいたこと。光に近い速度で落下したというのにたったこれだけの被害。少年も軽い打撲のみ。解くことのない警戒心。大きく反する睡眠の概念。不可解な言動。

答えは、一つしかない。



———彼は、地球の外から、やってきたんだ。









「お前は、忌まわしきアノニマスではない…。ここは奴らが住む星ではない…。だとしたら、いったいここは…どこだ?」




木々が揺れる。鳥が鳴く。東の空————紺色のキャンバスの中に、鮮やかな色彩がつき始めた。



柔らかいそよ風は私の髪をゆったりとなびかせた。

私が嫌いな潮まじりなそれだったのにその時は不思議と嫌な気分はしなかった。

一つ一つの光る粒が、徐々に大きく、徐々に鮮明に駆け回る。少年の前に立っている私に、温かさを感じさせる優しい光が照り付けた。

夜は——もう終わる。



次第に明るくなっている世界に、少年は目を丸くしていた。

目の前に広がる碧い海。朝日に照らされて宝石のように輝く。その手前で伸び伸びと音をたてる木々の緑。

ロケットが不時着したのは、青海の町を一望できる場所だったらしい。






「ここは…地球。日本の、青海町」





ザァァァァァ……!



揺れる。
少年の瞳も、大きく。



まるで、こんな神秘的な光景を見たことが、ないように———。




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