夢かかげる星のエアル
「僕は、ここで最善をつくす。それが遥かかなたにあるゲオネスのためとなることを願う」
だから、と付け加えた少年は、湯呑を机に置いて私を真っすぐ見つめた。
「ハルカ…といったな、僕にこの星で生き抜く術を教示してほしい」
「…生き、抜く?」
私は、その次の言葉を待った。
「ああ。ゲオネスで生き抜くために必要な能力…戦闘に関しては、生まれ落ちた瞬間から潜在的に脳に叩き込まれている」
「…」
「だが、地球でのそれはどうやら通用しないようだ。何が必要だ。何があれば生き抜ける。僕は知らない。それでは僕一人でこの地で生きて行くにはこと足りない」
彼は心底考え込んでいるようだった。どうするのが最善か。どうしたら地球で“生存”できるか。
────でも、
「……まどろっこしい」
なんでもっと簡単に考えられないの。
そんなの、答えはシンプルなのに。
少年は不思議そうな顔をしていた。さも当たり前のことなのだろうことも承知してる。でも、私の考えってもんもあるの。
「一人で生きる…?そんなに硬く考えないで」
──だって、ここは地球だから。
「私の家に住みなよ。お茶も知らない、手を貸す意味も知らない、こっちでいえば赤ちゃんレベルにものごとを知らないあなたを放置できるほど、私は無情じゃない」
ようは、こういうことだ。
──面倒を見てやる。
柄じゃない提案だった。
少年は、訝し気に私を見つめてくるだけ。いまいち理解ができていないようで。
「生きる術を教示してもらうだけで僕は…」
「誰が異星人を野放しにできるか!気が気じゃない!」
「…僕ならうまくやれる」
「私には到底思えません!それにほら、ロケットがいつ回復するかも分からないでしょう?」
青き瞳は瞬きを一つ落とす。
「……それは一理ある」
少年は、顎に手を当て少し何かを考えていた。
眉間に皺を寄せて。