夢かかげる星のエアル
思わず、足の上で合わせている手を変にいじった。
年配のご婦人が数メートル前を横切ったその奥に、アイロンのかけられた制服を身にまとうあどけない少年少女の姿がある。
いや、まったく知らない若者だ。特に彼らになんらかの恨みを持っているわけでも思いれがあるわけでもなんでもないのだが、なんとなく、なんとなくだけど…あの時の面影がかぶって泣きたくなった。
今でも、
…今でも、
十年弱たった今でも―――鮮明に、覚えてる。
「今からする話は、少々信じられない内容かもしれません」
「信じられない?」
「はい。あの、お時間の方は…」
「問題ありません。たっぷり取ってありますから、沢山お話をお聞かせください」
「ああ、よかった…。そう言ってくださって安心しました」
瞳を閉じて、また開ける。