子犬男子に懐かれました
「おい、壮介ー?」
「ごめん、和、俺ちょっと用あるから先帰ってて」
壮介くんはそう言って私の側にまた近づく。
「バカじゃないの、早く友達の所に行ったら?」
「行けない。それよりも皐ちゃんが心配、放っておけないんだよ……そんなに泣いて……」
「……っ、」
「どうした?何があった?」
優しい問いかけにまた、私の涙が溢れ出た。
「ちょっと……っ、仕事で色々あって……それで…っ、う」
「ごめん、大丈夫。無理に話さなくていいから」
壮介くんは私の頭を自分の胸元に引き寄せ優しく抱きしめた。
「……壮介くん…なんで…っ」
「好きな人が泣いてるから」
「……っ、」
「辛いと思うけど、皐ちゃんなら乗り越えられるよ。皐ちゃん、いつも頑張ってんじゃん。俺知ってんだから」
優しく髪を撫でる手付きに、また鼓動が早くなる。