子犬男子に懐かれました
「皐ちゃん」
そう言う壮介くんは落ち着いていて、私なんかよりずっと大人に見えた。
「……ごめん、今日はもう帰る」
「え…」
私は壮介くんを横切り、そのまま走った。
後ろからは私を呼ぶ声が聞こえるが聞こえないふりをした。
ーー「また…会いたいんだ。何か皐ちゃんといると忘れられるんだ」
ーー「忘れたい人がいるの?」
全て謎だった言葉が繋がった瞬間、こんなにも辛いなんて思わなかった。