毎日、休日。
決意
「それは……、石井さんが甘やかし過ぎなんだよ」
職場での飲み会のとき、ついポロリと出てきた健人への不満に、古庄はそう言ってコメントをくれた。
「考えようによっちゃ、石井さんがしっかりしてるから、相手のことをダメにしてるとも言えるかも」
物語のような切ない恋愛を成就させて、今は晴れて新婚生活を送れている古庄は、さらにアドバイスしてくれる。
「ダメにしてる……?」
和香子が愕然として、そう聞き直すと、ちょっと言い過ぎたかと、古庄も焦ったように弁解した。
「男って、嫁さんや彼女次第でどうにでもなるもんなんだよ。俺なんて、真琴に嫌われたくないから絵に描いたように〝良い夫〟だし、〝良い父親〟になれるよう、もう必死で努力してるよ」
それを聞いて、和香子は息を抜くように笑った。
「そりゃ、賀川さんは真面目だから、ハードル高いだろうね。でも、古庄くんは足りないところを補っても余るくらいの〝見た目〟があるじゃない?」
「この見た目が真琴にはあまり意味しないことを、石井さんも知ってるだろ?それより、石井さんの彼氏も、日本人離れしたすっごいイケメンだって聞いたことあるけど?」
「日本人離れね〜……」
和香子の笑いが途端に苦くなる。その気色の変化を見て、古庄も息を抜いた。