毎日、休日。
「イケメンで年下の彼氏は可愛いかもしれないけど、甘やかすだけが愛じゃないから」
「……年下じゃないんだけど」
「え……?」
古庄は、てっきり〝年下〟だと勘違いしていたみたいだが、そう思われてしまうくらい健人は生活力もなく、実に頼りなかった。
古庄に指摘されてから、和香子は健人にとっての自分の存在意味を考えるようになった。
多分、和香子がいなければ、健人の生活はたちまち破綻してしまう。それほど、日常的にも経済的にも、健人は和香子に依存していた。
起きたいときに起きて、食べたいときに食べたいものを食べる……。
もともとの健人の性質もあるけれども、そうしてしまったのは、誰でもない和香子だった。
出会った頃の健人はきちんと毎日働いていたし、和香子と同棲を始めるまでは自分の力で生活をしていた。
健人が生きる力をなくし、一枚の絵を描き始める気力も削いでしまっているのは、和香子の存在なのかもしれない……。
一日の仕事が終わって、疲れた和香子がマンションに帰ってくると、健人は出かけていて、部屋には明かりが灯っていなかった。
ここのところ健人は留守にしていることが多く、夜遊びをしているのか、遅くになって帰ってくることもしばしばだった。
「そうか……。私がダメにしてるんだ……」
暗い部屋の中で、ポツリと和香子がつぶやいた。