毎日、休日。



「これ、スティーブン・タイラーみたいで、気に入ってるんだ」


言われてみると、確かに健人の風貌は外国のミュージシャンのようで、そのだらしなさを見事に昇華している。長い足やファッションセンスもプラスになって何をしてもカッコよく見え、周囲から隔絶したオーラを放っていた。

でも、健人はミュージシャンでもなんでもない。ただのプー太郎。もっと悪く言えば、和香子の〝ヒモ〟だ。
なんでも面倒くさがるこんなだらしなさでは、どんな仕事だってできはしない。


「何言ってるの。もうちょっときちんとして、ちゃんと働かないと」


和香子はスプリングコートを羽織りながら、健人の側までやってきて、真面目な顔をして言った。
健人はそれをチラリと見て、ビールを口に運んでから遠い目をする。


「んー、それも、またね」


「どうして、『またね』なの?」


腰に手を当てて、いつになくうるさく食い下がってくる和香子に、健人は目を丸くしてソファーから立ち上がった。


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