毎日、休日。
「……いや、雲のことはいいから、それからどうなったの?」
「ああ、そうしたら、僕より真っ金々の髪のにーちゃんたちがやって来て、『金、貸して』って言うんだよね。それで、僕は持ち合わせがなかったから『またね』って言ったら、この通りボッコボコにされちゃったよ」
付け加えて、連絡をしてくれた警察官の話によると、犬の散歩のおじさんが暴行の現場を見つけてくれたので、この程度で済んだらしい。
その話を聞いて、和香子は大きなため息をついた。心配するよりも呆れる方が大きくなって、苛立ちが加わってくる。
というのも、それでなくても目立ってしまう健人は、こういう〝ならず者〟たちの標的になりやすいらしく、こんなことはこれが初めてではなかったからだ。
経験を生かさず、何も学習せず、こんなことを繰り返すなんて。そもそも、普通の大人としてきちんと社会生活を送っていれば、こんな事件に巻き込まれることも避けられたはずだ。
健人を車に乗せて、マンションへ帰宅する途中にも、和香子の苛立ちは憤りへとなり、我慢ができなくなる。
マンションの部屋の中に入り、二人きりになった途端、和香子の感情の緒が切れて、健人に対する鬱憤が爆発した。