Lover's Soul
どれくらい経ったのか。時間の感覚もわからない。
「さ、着いたよ」
真白はそう言った。
彼が私にアイマスクさせてまでもったいぶりたいほどの場所を早く見たい。
心臓が高鳴る。
助手席のドアを開けてくれ、私をエスコートしてくれて外に出る。
なんにも見えなくて、車外へ足を踏み出すことが少しだけ躊躇われたけれど、
真白が私の手を引いてくれたからあまりこわくはなかった。
空気がとても澄んでいる。雪の匂いがする。
ザクザクという音が耳に響く。
おそらく雪の上を歩いてる。
雪の暮らしに慣れていない私はさらに視界を遮られているため、
転ばないように慎重に一歩一歩踏みしめるようにして歩む。
「マスクはずしていいよ」
真白に言われ、ゆっくりと取ると
目の前には果てしない雪原が広がっていた。
出発してからどのくらいの時間が経っているのかわからないけれど、
もう空は闇に溶けている。
だけれども、今宵は満月。
そして満天の星が煌めいていて、それらが真っ白な景色を銀色に染めている。
星が時折瞬くたびに、雪もきらりきらりとまるで宝石のように光を放っている。
幻想的な風景に言葉を失った。
「どうかな?」
隣に立っている真白もその景色を観ながらぽつりとつぶやく。
「うん、……素敵」
「気に入ってくれた?」
「うん、最高のプレゼントね。ありがとう」
「どういたしまして」
私たちはその光景をしばらく眺めていた、つないだ手からお互いを感じながら。