【短】大好きの一言がほしいだけ。



……。


ちゅうさん……?


え、まって。



先輩、何言ってるのかな……?




「俺が中3のとき、好きになった」


「で、でも私と先輩、違う学校ですよ、ね?」


「うん」


「会いましたか?私と」





問題はそこだ。いや、私にとってはすべてなんだけどね。





「会ったよ、俺はね。愛衣は知らないと思うけど、桜の木の下で写真撮ってた」





桜……。


毎年撮ってるけどね。



そっか、近くにいたんだ……。




私、どんな顔をしてた?!

のっぺ〜とした顔で見上げてたんじゃ……。




有り得る。気持ちわるい顔してたよ。きっと!




「とても綺麗だった。たぶん一目惚れ」





──っ。



そんな笑顔向けないでよ。ずるい。





「……私も会いたかったな、中3の先輩に」


「ふ、なにそれ」


「先輩ずるい!もう大好きっ!」






あ……。




穴がほしいなぁ〜……。





今更先輩から離れるなんてできない。

思いきり抱きついて、さらに抱きしめられちゃってるから、ね……。






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