君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「価値?
私に城に迎えられるような価値なんてないよ」

いささかハードルが高い気がする。
ただ、銃を向けられずに過ごせればいいんだけどな。

「たぶん、議会側としても、監視ができる体制で近くに置いておきたいんだと思う。
もちろん、神楽弥にそんな必要なんてないのわかってる。
わかってるんだけど…。

…嫌な思いさせてごめんな」

「なんでカナトが謝るの?
私のために頑張ってくれたんでしょ?

正体不明の私を疑うのは当然の事だよ」

今はカナトのことを信じよう。

握られた手をぎゅっと握り返す。

「期限は今日中だ。
今日中に何か示すことができないと、身柄を拘束されてしまう。
そもそも受け入れる気がない人の方が多いから、状況は悪すぎるんだけど…、それでもやるしかない。

ついてきてくれるか?」

カナトが一緒に歩いてくれるならこの上なく心強い。

「どこまででもついていくよ」

そう言って、大きく頷いた。

そして、目の前の扉が開かれた。
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