君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
重たい空気の中、隊長さんが地図を指差して説明を始める。
淡々と、そしてとても業務的に。

今はどこが攻められているとか、この地域の外側で暴動が発生しているとか。

出てくるのは聞いたことのない地名ばかり。
私の理解力は、戦略どうこうの話以前の問題。
今にも頭がパンクしそうで、右から左に抜けていく。

あー、もう目が回りそう。

「どうしました?
まだ説明は半分も終わっていませんよ」

にやりと口の端が上がった。
隊長さんは、私が音を上げるのを待っているらしい。

これに負けてはいけない。

一度息を吐いて、再び地図をじっと見る。

だが、隊長さんの口から出てくるのは、さらに難しい専門用語の数々。
何語で話されているのやら…。

気合で乗り切れる域などとっくに超えてしまっていた。
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