君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「ですが王子、現状を知っていただくのが一番ではありませんか?

それに、西側ならばそこまで危険も及ばないでしょう」

現地に連れていって、私の無力さを周知の事実にしてしまおうっていう思惑が見え隠れしている。
でも、リンタールの力になりたいと思っている以上、現状を知っておくことは何よりも大事なこと。

恐怖心は拭えないけど、ここまで来たら、やってやろう。
どうせ後には引けないんだから。

「行きます。
連れていってください」

「神楽弥!?」

「あっちゃー…」

私の返事に、カナトは驚いた声をあげ、シンは頭を抱えた。

「危険なのはわかってるけど、この目で見ておきたいの。
私はまだ、この国について知らないことばかりだから。

それに…、
やってみなきゃわからないでしょ?」

カナトは困ったように笑いながら、ゆっくり頷いた。

「わかった。
行こう」
< 48 / 173 >

この作品をシェア

pagetop