君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「あちらが問題になっている場所です。

何者かが人目を盗んで森林を伐採をしています。

他にも、農地が荒らされたりもしている。
おそらくあの山に住む山賊の仕業なんでしょうが、なかなか尻尾を出さない。

これ以上町に近づかれると、こちらも攻撃に転じなければなりません」

攻撃に転じるってことはつまり…。

「山賊との戦争も、視野に入れていくことになります」

戦争なんて…。
そう聞いて、真っ先に浮かんだのはここに来る途中で見た町の光景だった。

戦争なんてことになったら、彼らは全てを奪われる。
人々の暮らしも、綺麗な草花も。
そんなこと、させたくない。
今以上に顔を曇らせるようなこと、あってはならない。

「どうして山賊がそんなことするんですか?
山を通る人の荷物を奪うっていうのが山賊なんじゃ…」

しかし、そんな私の浅い疑問は隊長さんに鼻で笑われた。
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