君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
町の人達がざわざわし始める。
目を向けると、皆どこかうずうずしてる。

何人かが目配せをして、皆それぞれに何かを待っている感じ。

すると、隣にいた女性がぽそりと呟いた。

「やっぱり…、音楽のない生活なんて、物足りないわよね」

その呟きを聞いた大柄な男性は、勢いよく拳を突き上げた。

「よっしゃ!

こうなったら、急ピッチで祭の準備するか!
なぁ、皆!」

「おう!
落ち込んでるなら、祭をやって盛り上がる!それがリンタールだ!」

「私たちの本気を見せてやりましょう!」

次々に声があがっていく。
それはもうすごい迫力。

祭りが、できるの?
それって、町が元の姿を取り戻そうとしてるってこと?

あぁ、そうか。
私は今、大きな何かが動き出す瞬間を、目の当たりにしてるんだ。

こんなにも強い団結を見せられたら、私も頑張らなきゃって思えてくる。

さっそく、ああだこうだと話し合っている彼らからは、熱をじりじりと感じる。
それに、生き生きしてる。
< 62 / 173 >

この作品をシェア

pagetop