君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
ありったけの感謝の気持ちを込めて、もう一回頭を撫でる。

「あのさ…」

私の手をとると、顔をあげた。

「そうやって撫でるのは僕の役目」

どこか拗ねたように、でも目をじっと見つめて言う。

「それに、神楽弥があんなに歌上手いなんて知らなかった」

歌、上手いって…。

「うそ!
いつから聞いてたの!?」

まさかまさか!
聞かれてたなんて!

「結構最初の方から。
人がどんどん広場の方に流れていくから気になって。

僕も引き込まれたよ。それに、歌ってる姿、かっこよかった」

かっこよかったなんて!
笑顔にならずにはいられない。

「ほんとに?」

「あぁ」

「嬉しい!
ありがとう!」

あまりの嬉しさに飛び付きそうになるけど、まだ周りにちらほら人はいるから堪える。
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