そういう、関係
7月が終わろうとしていた。

私は相変わらず、ソウちゃんの部屋に入り浸っている。
オトモダチとして。
彼の部屋の合鍵は、私のお守りだ。逃げる場所があるというのは、心強い。


今日は朝から雨。
湿気を含んで広がる髪にイラつきながら、つまらない講義を受ける。
欠伸をしながなら、窓の向こうを眺めると、恵みの雨を喜んでいるかのように、上半身裸で走り回っている男達がみえた。

バカみたい。

別に彼らだけじゃない。
もうすぐ夏休みだからか大学内には、異様なほど、浮かれた雰囲気が漂っている。


「優梨、最近真面目に大学来てるらしいじゃん」

退屈すぎる授業に、集中力が切れたのか、隣の席に座る友人が、こそこそと話しかけてきた。

「あー、うん。そろそろ頑張らないと、やばいでしょ」
「留年確定してるもんね」
「耳が痛い」

耳をふさぐ。
もっと早い段階で本気出せばよかった……なんて今更すぎるけど。

「あ、優梨、今日テニスサークルの飲み会あるって。来るよね?」

テニスサークル……表向きはそういうことになっているけど、いわゆる、『ヤリサー』だ。
ロクでもない連中ばっかりが集まってる。

まあ……私もその一員だったんだけど。

「やめとく」
「え~来てよ! 女子少ないからさ」
「金欠なんだよね」
「飲み代タダ!」
「雨、降ってるし……」
「タクシーで行けばいいじゃん! 奢るから! お願い!」

こんなに熱心にお願いされたら断りづらい。
私は段々面倒になってきて、渋々「わかった」と答えた。すぐ帰るからね、と念を押して。

あー、行きたくない。

どうしてこんなに、押しに弱いんだろう。
「無理」って言えばいいだけの話なのに。

つくづく自分が嫌になる。
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