音を紡ぐ
「もう、何でそんな大事なこと俺に言わないんだよ!!びっくりするじゃん。」


「ごめんね。でも、今日可愛いお友達に会ってさ。」


「可愛い友達??誰それ。」


「秘密だよーーーーー!!ほら、帰ろ!!」


斗季の手を引いて私は歩き出す。


向かった先は医院長先生のいる診察室。


コンコンッ


「はい。あっ、有紗ちゃん。と、そちらは斗季君かな?」


「はい。お久しぶりです。今日は有紗の付き添いで来ました。」


「そうか。・・・・・・・有紗ちゃん、どうするか教えてくれるかな?」


私は深呼吸を1つして斗季の顔を見た。


斗季は優しく笑って私の背中をぽんっと押した。


「私、これまでと同じ治療を続けます。抗がん剤治療はしません。・・・・・それと、私ドナーになりたいです。」


医院長先生は驚いた顔をして私の顔を見る。


「抗がん剤治療をしないのは分かった。それはお母さんとも話したんだろうから。でも、ドナーっていうのは?どういうこと?」

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