音を紡ぐ
「私が死んだら、私の使える臓器を移植のために使ってもらいたいんです。移植を待っている人のために。それが、私がこの世界で誰かのために出来ることだから。お願いします。」


私はそう言ってお辞儀をする。


「・・・・・・分かった。その事は色々書類を書かなきゃいけないから、お母さんを呼んで手続きしてもらうね。それから、斗季君。・・・・・・・・有紗ちゃんのことよろしく頼むよ。」


「はい。任せてください。」


そう言って2人は握手した。


私の周りにはこんなにかっこいい人がたくさんいるんだなって思った。


私は病室に戻ると引き出しからノートを出した。


そこに、移植のこと、ドナーのこと、斗季と話したことを書いた。


書いてる私の横で斗季が私のノートを見てる。


「増えたな。ノートに書かれた有紗のやりたいこと。」


「うん。斗季のおかげだね。新しい世界を次々見せてくれる。」

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