音を紡ぐ
私は斗季の隣に座って、手を握った。


「私もね、これが続けばいいなって思うよ。でも、そう考えると悲しくなってくるから。だから、今はそんなこと考えないで楽しもうって決めたの。斗季が教えてくれたんでしょ?」


「・・・・・そうだったね。ごめん、俺弱すぎた。・・・・・・・有紗が笑うとなんか消えてなくなりそうで、儚く思えて。でも、それ以上に愛しいんだよ。好きよりももっと大きい気持ち。・・・・分かる?」


そう言って私の顔をのぞき込む斗季。


斗季も色々思うことがあって、でも、私に気づかれないように笑ってたんだな。


「・・・・・・・・うん。分かると思う。なんかね、斗季といると好きって気持ちより大切な人って思うの。」


「うん。・・・・・・・大好き、愛しい、愛、愛してる。・・・・・・・・うん。愛してるが一番近い言葉かな。」


夕焼けで光る海を見ながら斗季が呟いた。


愛してる
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