音を紡ぐ
斗季に抱きついてから10分くらいそうしてたかも。


辺りは段々暗くなってきている。


帰り道、ちょっとだけ寂しくなった。


楽しい時間は終わりなんだよって月に言われてるみたいで。


「有紗、今日楽しかった。ありがとうね。」


「私こそ楽しかった。ありがとう。またどこかに行こうね。」


「当たり前。だから、そんな悲しそうな顔しないで。また明日会えるんだから。」


あっ、やっぱり斗季には分かっちゃうのか。


「そうだね!また明日会えるね。」


私達は手を繋いで駅に向かう。


電車に乗った時も、病院に向かう道でも、斗季は私が寂しくならないようにずっと話しかけてくれた。


それが嬉しかった。


でも、そんな斗季の優しさに泣きそうになった。


病室まで送ってくれた斗季にお礼を言う。


「送ってくれてありがとう。また、明日ね。」


「うん。またな。」

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