音を紡ぐ
「応援してやりたいのにできへん。俺、最低や。こんな自分嫌やわ。・・・・・幼なじみとは友達みたいに、今までと変わらず接したいねん。でも、顔を見る度辛くて、俺どうしたらいいんや。分からん、もぅ・・・・」


こんな樹哉初めて見た。


いつも笑わせてくれる、元気な樹哉とは全然違う。


話終わると手で目元を覆った。


きっと、泣いてるのを見られたくないんだろうな。


すると斗季が立ち上がって樹哉のことを抱きしめる。


「そんなの当たり前だろ。好きなやつ取られて、応援なんてできる方がおかしいよ。樹哉は最悪なんかじゃない。」


「そうだよ。相手の応援出来なくて、自己嫌悪で泣いてるやつのどこが最悪なの?最高の間違いじゃない?」


昴はちょっと言い方がきついけど、それも優しさなんだろうな。


朱里を見ると何故か大泣きしていた。


「ふっ、あははははは!!なんや、男に抱きつかれて嫌やわーー!でも、・・・・・・ありがとな。ちょっと元気でたわ。・・・・まだちゃんと諦められへんけど、少しずつ頑張っていくわ。有紗も、朱里も、ありがとうな。」


そう言って笑う樹哉はどこかすっきりしていて。


いつもの樹哉に戻ったように笑った。


樹哉のことを見て思った。


両思いってすごい事なんだなって。


お互いの気持ちが同じになるって凄いなって改めて思った。
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