音を紡ぐ
みんなたくさんプレゼントくれたのに、私は何もあげられない。


やっぱりなんか申し訳ない気がする。


「ねぇ、やっぱり私もみんなに何があげたい。だから、今度あげるね。」


そう言うとみんな顔を見合わせて笑った。


「有紗の事だからそう言うと思った。ちゃんと考えてあるよ。」


「えっ?どういうこと?」


「ステージの上で俺達のために歌って。有紗の単独ライブだよ。それが有紗からのプレゼント。」


斗季はそう言うと私をステージの上まで連れていく。


私のライブ?


ってことは・・・・・・・・・・・・


「斗季・・・・・・私の、夢。大きなステージで歌う、って夢。」


「だから言ったでしょ?有紗の夢叶えてやるって。まぁ、大きくはないけど、バンドも忘れてないよね?」


斗季の後ろにはギターとドラムを準備する昴と樹哉。


私は静かに涙を零した。


嬉しくて、夢が叶うことが。


私がバンド出来ることが。


私は涙をふいてみんなを見る。


「ありがとう。みんな。私の夢の手伝いをしてくれて。」


そう言うとマイクの前に立つ。


曲はもちろん前に病院で歌った時と同じ歌。


曲名は「color」にしたんだ。


ライブが終わった後、私が決めた。

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