音を紡ぐ
さっき急に斗季に抱き寄せられた時の熱が冷めない。


斗季は恥ずかしくないのかなって思いながら着替えた。


カーテンを開けて教室の入口に立っている斗季に声をかける。


「次はどうするの?」


「なんか、昴から仕事終わったら屋上で今日のライブの反省会するって連絡来てさ、だから屋上に行って待っててもいいかな?」


「いいけど、私も行っていいの?」


「なんか朱里ちゃんも来るみたいだから大丈夫だよ。」


そう言って屋上に向かって歩く。


階段を登る時に斗季が立ち止まって、


「ん、手かして。」


そう言って私に左手を出す。


「ありがとう。」


そう言うと斗季は笑ってぎゅっと手を握った。


手のひらから斗季の体温が伝わって恥ずかしいっていうより安心した。



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