音を紡ぐ
屋上に来るとちょうどいい風が吹いていて気持ち良かった。


私達は手を繋いだままフェンスの近くに行って空を見る。


「有紗、俺の夢聞いてくれる?」


突然そう言って私の方を向く。


「うん。いいよ。」


「昴と樹哉とこのままバンド続けてプロになって音を紡ぎたい。」


「音を紡ぐ?」


「うん。演奏するって言うのは誰でも出来ると思う。プロじゃなくて素人でも。だけど、音を紡ぐっていうのは大好きな仲間としかできない事だと思うんだ。俺達の個性や言葉、メロディを重ねて重ねて一つの曲にする。そういうバンドにしたいんだ。」


そう言って空を見て微笑む斗季は今までと違う真剣な顔をしていた。


「そっか。・・・・・私は、その夢応援するよ。私から叶うとか、叶わないとかアドバイスはしない。だけど、応援する。」


「ふっ、やっぱり有紗に相談して良かった。」


「なんで?」


「有紗は真っ直ぐだから。・・・・出会って少ししか経ってないけど、俺は真っ直ぐで素直だなって思った。」

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