音を紡ぐ
私のことをそう思ってくれていたとは思わなかった。


「そっか。ありがとう!」


「うん。・・・・・・有紗の夢はないの?」


斗季に言われて私は病室に置いてあるノートを思い出した。


あのノートにたくさんやりたいことは書いてあるけど・・・・


「あるよ、多分。・・・・・でも、自分でもよく分からない。」


口ではそう言ったけど、私にだって夢はある。


でも誰かに夢を話すのが怖い。


だから私は曖昧なことしか言えなかった。


「・・・・・・・そっか。俺さ、有紗の病気のことなんも知らないけど、辛かったら俺に話してよ。・・・・友達でしょ?」


そう言って笑う斗季。
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