音を紡ぐ
「そんなに心配しなくても大丈夫!体調悪くなりそうだったらちゃんと声かけるから。」


そう言うと斗季は私の手を握って笑う。


分かったって意味なのかな?


駅は夏休みってこともあってたくさんの人で溢れている。


「えっと、あっ、こっちだ!後5分で発射しちゃう!」


朱里が時間を確認すると、電車に向かって急ぐ。


ギリギリ間に合って、空いてる席を探す。


「有紗!こっち空いてるから座って。」


「えっ!でも、みんなは?」


「ん?みんなもあるよ。だから、気にしないで。」


多分私が考えていることが分かったんだと思う。


私だけが特別扱いされたくないって。


なんでも斗季には分かっちゃうんだよなーって思っていると電車が発車した。

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