音を紡ぐ
電車はビルや住宅街をどんどん追い越して、眩しい光が入ったと思ったら綺麗な海が見えた。


「あそこの海の近くでやるんだよ。」


私の横に座っていた斗季が目をキラキラさせて言う。


「斗季、今日はめっちゃ楽しもう!!」


「うん、当たり前!!」


10分くらい電車に揺られると電車は止まった。


駅の中はロックフェスで行く人でいっぱいだった。


皆派手な服そうだったからすぐ分かる。


すると斗季が私の手をぎゅっと握って歩き出した。


「人多くて迷子になるから。これで大丈夫でしょ?」


「うん。ありがとう。」


そう言うと斗季は私の1歩前を歩いて、私が歩きやすいようにしてくれる。


斗季のさり気ない優しさが好き。


朱里と昴も仲良く手を繋いで歩いてるって思ったら、樹哉に邪魔されていた。


朱里どんまい!!


「ここから歩いて5分くらいだから。最初は何見に行く?」


「あっ!はい!私、[Rainy Rusk]っていうバンド見てみたいんだけど!」


朱里が勢いよく言う。


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