音を紡ぐ
そう言われて考えると、頭に斗季の顔が浮かんだ。


「うーん、自分でもよく分からない。恋なのか、どうか。私、したことないし。」


「恋を説明するのは難しいよなー。うーん、例えば!その人のことを考えると、ドキドキして顔が赤くなったり、褒められるとすっごい嬉しくなったり。でも、その人を見てると苦しくなったり。そんな感じかなー。」


朱里が言ったことを頭の中で繰り返す。


思い当たる、人は・・・・・・


「私、斗季といるとそうなる気がする。褒められると、飛び跳ねたくなるくらい嬉しくて、頭をぽんぽんってされると恥ずかしいのに嫌じゃないの。それって、恋?」


「・・・・・・うん。恋だと思うよ。」


「えっ!?じゃあ私、初恋しちゃった感じ!?」


「何がしちゃった感じなの?」


後ろから昴に話しかけられて、びっくりした。


「なんでもない!!」


というと、樹哉と斗季が食べ物をたくさん抱えて帰ってきた。


「この中に有紗でも食べられるのあるといいんだけど。」


そう言って笑う斗季。

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