音を紡ぐ
昴が朱里にしめられてるのを横目に俺はカレンダーを確認した。


「んじゃあ、とりあえず明日から練習するか。それにどうせなら新曲もやってみたいよなー。」


「新曲!?それって、私も手伝っていい!?」


有紗が目をキラキラさせながら言う。


「いいよ。じゃあ、今日はとりあえずこれで。明日から練習するからね、有紗!」


「うん。ありがとう!!皆も、ありがとう!!」


有紗は今までで1番嬉しそうに笑った。


そして、次の日から病院の空いてる部屋を使って練習した。


やっぱり有紗の声は人を一瞬で惹きつける。


昴と樹哉も最初に聞いた時は驚いてた。


コンコンッ


「おっ、練習してるね。ライブの日時を伝えに来たんだ。えっと、10日後のお昼でいいかな?」


「はい!大丈夫です。ありがとうございます。」


「うん。僕も楽しみだからね。じゃあ頑張ってくれ。」


そう言って医院長先生が帰っていった。


10日後か、新曲もギリギリ間に合うな。


俺達は毎日毎日、練習した。


有紗の歌声もはじめの頃より厚みが出てきて前より更に良くなった。


新曲もどうにか仕上がって、当日を迎えた。


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