音を紡ぐ
「よし!じゃあ屋上に行きますか!!」


屋上に向かって歩いてる時俺は有紗の肩をぽんぽんと叩いた。


「有紗、今日は思いっきり歌えよ!!楽しもう。」


「・・・・・・・・うん。私の初デビューだからね!!応援してて!!」


「もちろん!!ほら、行くぞ!」


「うん!!」


屋上にはもうたくさんの人が来ていた。


入院患者やその家族、看護師や子供も。


俺達が前に立つと大きな拍手が響いた。


俺は有紗に合図をすると、マイクのスイッチを入れた。


「初めまして、今日はわざわざお越しいただきありがとうございます。・・・・このような機会を作ってくれた、医院長先生、看護師の皆さん、そして、大好きな友達。この場でお礼を言いたいと思います。ありがとうございます。」


横で有紗を見ていた俺は、有紗が緊張しているのが分かった。


「・・・・・私もこの病院に入院しています。でも、病院にいたって、病気を持っていたって、夢は叶えられると教えてくれた人がいます。追いかけていいんだと、前を向いていいんだと言ってくれました。・・・・今日は勝手ながら、その人のために歌いたいと思います。では、聞いてください。」

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