あくびがとまらない
「転校生を紹介しまーす、話聞いて〜」
いつの間にか連絡事項を話し終わった先生が手を3回叩いて私を含めたクラスメイトの意識を呼び戻した。
ギリギリと音がなりそうに首を戻して前を向いて、ぼんやりと考える。
あぁ、今日はちょっとだけ違う。
教室の扉がのろのろと開いて人が入ってくる。
クラスメイト達は一瞬ざわっとして、でもまた好奇心の目を向けるために黙って転校生を見つめた。
どこの制服かわからないけれど、うちの制服ではない学ラン。
白い肌に高い鼻。
ちょっとだけ、異質な転校生にクラスの空気が少しだけ揺らぐ。
だって、転校生が世にいう「イケメン」だから。
物語の中では転校生がイケメンだと何かが起こる。みんな、それを心のどこかで期待してるんだ。
「上杉晴太郎です。よろしくお願いします」
薄い唇を小さく動かして転校生は自己紹介を始めた。
「大阪から、事情があって転校してきたんですけど、面白いこととかなんも言えません。」
そう言うと、どこかの女の子グループが盛り上がる。
イケメンってのは、本当に得だ。
「好きな食べ物はイカの塩辛で、得意科目は数学で、苦手なのは古典」
転校生は淡々と話し続けるけれど、私はまた顔を元の向きに戻した。
思ったよりもつまらなかった。
普通のイケメンなのかもしれない。
小説やマンガみたいに「あ、あの時の!」
とはならないし、目も合わない。
隣の席はすでに人がいるから、隣の席になって恋に落ちるなんてこともないだろう。
あくびをする。
つまらない。
最後に、と転校生は言ってまた唇を震わせた
「僕の趣味は、死に方を考えることです」
いつの間にか連絡事項を話し終わった先生が手を3回叩いて私を含めたクラスメイトの意識を呼び戻した。
ギリギリと音がなりそうに首を戻して前を向いて、ぼんやりと考える。
あぁ、今日はちょっとだけ違う。
教室の扉がのろのろと開いて人が入ってくる。
クラスメイト達は一瞬ざわっとして、でもまた好奇心の目を向けるために黙って転校生を見つめた。
どこの制服かわからないけれど、うちの制服ではない学ラン。
白い肌に高い鼻。
ちょっとだけ、異質な転校生にクラスの空気が少しだけ揺らぐ。
だって、転校生が世にいう「イケメン」だから。
物語の中では転校生がイケメンだと何かが起こる。みんな、それを心のどこかで期待してるんだ。
「上杉晴太郎です。よろしくお願いします」
薄い唇を小さく動かして転校生は自己紹介を始めた。
「大阪から、事情があって転校してきたんですけど、面白いこととかなんも言えません。」
そう言うと、どこかの女の子グループが盛り上がる。
イケメンってのは、本当に得だ。
「好きな食べ物はイカの塩辛で、得意科目は数学で、苦手なのは古典」
転校生は淡々と話し続けるけれど、私はまた顔を元の向きに戻した。
思ったよりもつまらなかった。
普通のイケメンなのかもしれない。
小説やマンガみたいに「あ、あの時の!」
とはならないし、目も合わない。
隣の席はすでに人がいるから、隣の席になって恋に落ちるなんてこともないだろう。
あくびをする。
つまらない。
最後に、と転校生は言ってまた唇を震わせた
「僕の趣味は、死に方を考えることです」