初雪の恋
新しい生活
あの卒業式から、数ヶ月が過ぎた。季節は新緑が、眩しい初夏を迎えようとしていた。
「神崎紗姫さん、入学式の日から、ずっと気になっていました。もし良かったら、付き合て下さい。」
お昼休みに心結と勇気くんとご飯を食べようとしたとき、同じクラスの斎藤くんから、呼び出されたので、屋上についていくと、突然の告白。
なぜか、高校に入学してから、急にモテるようになった。
私は一つ溜め息を吐いて、いつもと、同じ答えを口にした。
「ごめんなさい。」
頭を下げて、私は斎藤くんに答えた。
斎藤くんは傷付いた、悲しい顔をしている。そんな顔を真っ直ぐに見れずに、視線が足元に行く。
「そっか…。分かった。ごめんな、呼び出して…。」
そう言うと、斎藤くんは屋上を後にした。
彼の後ろ姿を見送りながら、また一つ溜め息を付いた。
柵に寄りかかり空を見上げる。初夏の眩しい日差しが照りつける。