机の上の空論と遠い月
1、2巡目の春
*****

暦の上では春と言えど不安定な天気が私の不安と同調してくらくらくる。
私の春は来ないがちゃんと季節は巡って2度目の春。
少女漫画に出てくる美少女でもハイスペなメンヘラ少女でもないからときめくもしくは羨ましい恋なぞできない。
なぜなら凡人だから。びっくりするくらいに。顔も頭も心も体も。
あれ、目から汗が。な、泣いてないやい。
唯一の少女漫画要素はバカハイスペな幼馴染みがいること。
それがコイツ

「ハロー凡人」

『黙ってらして』

「間田、涙拭けよ…」
ホームに空風ふく。
コイツは智宮 善。私の幼馴染み。ずっと前からなぜだか近くにいる。腐れ縁ってやつだ。一緒にいてもちょっかい炸裂されてなかなか登校するのも苦労する。智宮くんを応援し隊までできてる美形が小学校から変わらないテンション(内容が謎にグレードアップだが)でちょっかい出して来るから体育館裏にいつ呼び出されるか知れない。
『今日もホント凡人。変わる努力くらいしたら?』
変わる努力ですか。なかなか手厳しいっていうか辛辣っていうか無遠慮だなおい。
大きな緑と橙色の列車がホームにとまる。
なかなか車内は混んでいて今日も座れなかった。
智宮と10年間も一緒に登下校しているのに一向に話題が尽きない。あーだこーだ言っていればあっという間に学校についているのだ。なんだか今日もくだらない事で盛り上がっていた。なんとなく楽しかった。
ああ今日もだ。

『バーカバーカ』

「黙らっしゃい!えーっとえーっと」

『いじる所でも探してんのか?やめとけ』

「にャにぃ〜〜」
ほっぺをつねられてしまった。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop