強がり女の唯一の男
お袋が「小雪ちゃん、彼氏とうまくいってないのかな~」なんて俺に伝えてくる。
「デートもろくにしないで、仕事ばっかりなんだって」
「誰情報だよ!?」
「え? 小雪ちゃんのお母さん情報だから間違いないわよ」
「・・・ふ~ん」
「あら? 気にならない? ついに公平にチャンス到来?とか思わないの?」
「はぁ!?」
「小雪ちゃんが好きだから彼女、居ないんでしょ?
お母さんは気づいてますから~」
「ムカつく! 小雪が俺なんか相手にする訳ないだろ!?
今は仕事を頑張ってるんだろうけど、きっとエリートで優しい男とちゃんと結婚するさ」
「それもそうね。 今、仕事忙しいらしいものね。
な~んだ、別れたら公平にチャンスあるかも?って期待したのに」
「・・・無いから」
「そうね。 小雪ちゃんのお母さんは彼氏のこと気に入ってるみたいだし」
「そうなんだ?」
「会った事は無いらしいけど」
「は?」
「小雪ちゃん、家には呼ばないんだって」
「へ~」
高校生の時は彼氏を家に呼んでたのに?
「だけど、小雪ちゃんからは彼氏の話し聞いてるから、いい人そうだって言ってたわ。
小雪ちゃんが朝帰りしたり、彼氏と旅行に行ったこともないんだって、今時珍しい真面目な人って褒めてた」
「・・・」
俺よりずっとレベルが上の男。
俺も会った事は無いが、小雪から話は聞いていた。
彼氏にも俺の話をすると言っていた「幼馴染と飲みに行った」ってな。
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