恋愛感情を貴方に教えましょう。

親がきて、色々な検査をした次の日。
まだ多少の痛みは残っているが、大分楽になった。
あれからずっと寝むれなくて、携帯をいじったり本を読んだりしていた。
今も本を読んでいた。
その時、廊下から聞きなれた声が聞こえた。
「綾！大丈夫？！」
菫が会いに来てくれたのだ。
「菫～！もう大丈夫だよ！
私、一体どうなったのかな？
部活中に倒れたことまでは覚えてるんだけど……。」
「倒れた時に後頭部を打ち付けて、医者の話では、多少の後遺症は残るかもしれないがそれ以外はいたって問題はないらしいよ。」
「よかったぁ！あ、有坂君！元気？」
「元気。」
有坂君までお見舞いに来てくれていた。
「柳沢さん、大丈夫だった？」
「あ、木村先輩！大丈夫ですよ！」
木村先輩まで来てくれていた。
「柳沢、大丈夫か？！
心配したんだぞ……。」
「…………」
「お、おいなんだよ、黙り込んで。」
私は何も言わなかった。
いや、言えなかった。
「菫、この人誰？」
菫にしか聞こえないように話しかける。
菫は一瞬驚いていたが、その後教えてくれた。
「剣道部の部長の大野先輩、だよ？」
「……」
全く、わからない。
名前を聞いても分からないなんて、よっぽどだろうなと思った。
「えっ、剣道部の部長なの？
この人が？？」
「おい、なんか不満でも？」
思わず大きな声で言ってしまったらしく、思いっきりこめかみをぐりぐりされた。
「ちょっと、痛い！
なにすんの、いきなり！」
「………」
何かに驚いたようで、何も言われなかった。
菫達も何も言わない。
部屋が重たい空気に包まれた。
ちょっと時間がたった後、有坂君が口を開いた。
「柳沢さん、本当にどうしたの？
なんか、柳沢さんじゃないみたい……。」