俺様社長と強引で甘々な結婚
何か言いたげな社長に気づかないふりをして、社長室を後にする。雑誌を盗み見して見えた社長のインタビュー記事。


流し読みだったからしっかりとは読めなかったけれど、『彼女の夢を叶えてあげたくてショップを作った』の一文だけがはっきりと目に映った。


「・・・彼女、いたんだ」


しかもその彼女のためにショップを作ったなんて好きすぎでしょ。何なのよ、私たちはあんたの道楽に付き合わされてるのか。


そんな気持ちが渦巻いたけれど、この仕事が好きだから悔しいけれど私は何も見なかったことにした。



「なにが、彼女のためだー!バカ社長!」


仕事中は平然を装った。傷ついたふりなんて見せてやるもんか。幸いコールセンターの対応にバタバタと追われていたのもあって落ち込む暇もなかった。


でも、会社を出たらもう関係ない。


野々葉ちゃんと関ちゃんを引き連れて約束していたイタリアンの店にやってきた。


「赤ワインボトルで!あとシーフードピザとシーザーサラダ、それとカプレーゼにカルボナーラ」


「居酒屋じゃないんだから。で何をそんなに荒れてるの?」


「別に荒れてないよ。お腹空いたし、明日は休みだから食べて飲んで無礼講だー!」


「その無理に高いテンション痛いですよ、理央さん」
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